東京都立大学 都市環境科学研究科 地理環境科学域 環境地理学研究室

English

大巡検(地理環境科学調査法Ⅲ)

 大巡検(地理環境科学調査法Ⅲ)とは地理環境学科3年次に履修する夏季集中の必修科目です.毎年設定される調査地を対象に,履修者が研究テーマを設定し,現地調査を行い,データ解析を踏まえて,報告書としてまとめます.取り組むテーマは履修者自身が興味関心を持って楽しく取り組めるもので,自然環境,特に土壌,植生,水について,現地でデータを取得しなければ解析できないことになります.大巡検,研究法,基礎セミナーを組み合わせて,3年次に行うこれらの一連の学習を通して,4年次に行う卒業研究に向けた基礎を養うことになります.

2024年度(阿蘇周辺)
阿蘇・中央火口丘群
阿蘇・中央火口丘群
阿蘇カルデラの中央にある中央火口丘群です.真ん中が烏帽子岳で,写真では見えませんがその向こうに現在も活動している中岳の火口があります.
  • 日程
    • 2024年9月16日〜20日
  • 参加者
    • 教員:川東,吉田
    • 院生:ガンスフ,細渕,手塚,山崎
    • 履修者:伊藤,中川,畔栁,永田,新垣
  • 巡検内容
    • 初日は有志により東海大学に設けられた土壌断面を観察し,その後は土壌班と植生班それぞれが巡検を行った.植生班は草千里のすぐそばにある阿蘇火山博物館を訪れて,阿蘇火山のでき方などを学んだ.
    • 2〜4日目は各自設定したテーマに沿って現地調査を実施した.
  • 調査研究テーマ
    • ミヤマキリシマツツジの分布と立地環境
    • 斜面崩壊地における植生回復
    • 管理手法による草地植生の差異
    • 草地土壌における野焼きと微地形の影響
    • 耕作放棄地土壌の過去の土地利用の影響
  • Photolibrary(写真ギャラリー)
      ミヤマキリシマツツジ

      ミヤマキリシマツツジ

      外輪山の崩壊地跡

      外輪山の崩壊地跡(ドローンより撮影)

      草地のオルソモザイク画像(RGB・NDVI)

      草地のオルソモザイク画像(RGB・NDVI)

      南阿蘇村長野の採草放牧地における土壌断面

      南阿蘇村長野の採草放牧地における土壌断面

      南阿蘇村両併の耕作放棄地における土壌断面

      南阿蘇村両併の耕作放棄地における土壌断面

2023年度(花巻市周辺および早池峰山)
円万寺観音堂から見る散居村
円万寺観音堂から見る散居村
北上盆地に見られる典型的な散居村です.それぞれの住居の西側にはスギを主とした屋敷林があり,景観を特徴づけています.
  • 日程
    • 2023年8月28日〜9月1日
  • 参加者
    • 教員:吉田,川東,Payandi-Rolland
    • 院生:梶原,小林,佐藤,髙橋,吉田
    • 履修者:太田,大庭,片山,黒木,品川,谷口,西田,松川,森木
  • 巡検内容
    • 初日は,北上駅からレンタカーで移動し,南部・伊達藩境塚(2016年のセンター試験で出題)や散居村など北上盆地の土地利用などについて観察し,雨ニモマケズ詩碑や宮沢賢治童話村を訪れた.
    • 最終日は,早池峰山で見られる土壌について観察する班と,平泉の世界遺産(中尊寺金色堂や毛越寺庭園など)を訪れる班に分かれて,それぞれ巡検を実施した.
    • 2〜4日目は各自設定したテーマに沿って現地調査を実施した.
  • 調査研究テーマ(仮題)
    • 蛇紋岩地における土壌形成
    • 段丘区分ごとの土壌
    • 農業による水質への影響
    • 早池峰山における森林限界の現況と長期変化
    • 早池峰山および薬師岳における登山道沿いの植生
    • 早池峰山における落葉広葉樹林と常緑針葉樹林の標高変化
    • 河川撹乱による森林の破壊と更新動態
  • Photolibrary(写真ギャラリー)
      ハヤチネウスユキソウ

      ハヤチネウスユキソウ

      早池峰山の山麓に広がる森林

      早池峰山の森林植生(ドローンより撮影)

      北上盆地の河成段丘における土壌断面

      北上盆地の河成段丘における土壌断面

2022年度(気仙沼)
品井沼湧水地
品井沼遊水地の越流堤.
堤防がその他の場所よりも低く,写真左側の鶴田川の水位が上昇すると,右側の品井沼を干拓してできた農地へと河川水が溢れて,下流域の水量を調整します.
  • 日程
    • 2022年8月29日〜9月2日
  • 参加者
    • 教員:川東,吉田
    • 院生:Dolgormaa,梶原
    • 履修者:杉山,竹中,手塚,宮生
  • 巡検内容
    • 初日は仙台駅に集合し,品井沼遊水地や吉田川サイフォンで自然災害と防災について学び,松島で植生景観について考えた.
    • 最終日は山口弥一郎『津波と村』で明治および昭和の大津波での集落移転について示された只越に行き,東日本大震災後の集落や地域の様子を観察した.また,気仙沼市大島に立ち寄り,分布北限となるアカガシ群落を訪れた.
    • 2〜4日目は各自設定したテーマに沿って現地調査を実施した.
  • 調査研究テーマ
    • 気仙沼市における土地利用と関連したため池の水質
    • 安波山におけるアカマツ林の植生構造と斜面方位の違いによるアカマツ林の遷移およびマツ枯れ被害の進行の特徴
    • 三陸の砂浜海岸におけるプラスチック片の漂着状況の比較解析
    • 河川敷および市街地における外来種の侵入状況

PAGE TOP